オホーツクの野鳥
かもめのゆりこ

- かもめ
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かもめのゆりこ日記 2005年12月09日
紋別の漁港へゆくと
釣り人が捨てる魚を欲しがって
沢山かもめがよってくる
あるいは海面の魚を狙っては
水面のすれすれを飛びながら
冷たい海にも首を突っ込む
なかなかうまく捕らえられずに
せっかくとった小魚も
仲間に追いかけられた末
とりあげられたりしてしまう事もある
寒い港を生きる鳥達
かもめのゆりこはまだ子ども
まるでぼんやりな茶色の羽で
冷えたオホーツクの海を飛ぶ
かもめのゆりこ
漁港で一枚カレイを拾った
どの釣り人が捨てたのか
素敵に大きなカレイが一枚
かもめのゆりこは堤防の上
足元にそっとカレイを置いて
じっと見つめる
さてどうしたらよいのだろう
かもめの口は横には開かない
ホッケだったら丸呑みするが
チカであったら軽々呑むが
この平たいお魚はどうして食べるものなのか
かもめのゆりこ
何回か口先に咥えて丸呑みしようと上を向く
それでも当然平らな魚は
口から奥へ入っていかない
傍には二羽の大人のかもめ
横取りするでもないままで
じっと見ているゆりこのことを
平らな魚は食べられないと知っていて
だけどやっぱり気にはなるのだ
どこへも行かず
かもめのゆりこ
置いたカレイを嘴で
トントントン突付いて壊す
骨を砕こうとしているのか
肉をちぎろうとしているのか
鍵型をしたくちの先に
引っかかってばかりいて
なかなか作業ははかどらない
かもめのゆりこ
いつまでも
トントントンと肉を砕く
人が来ても逃げられない
大切なカレイを何とかしなくちゃ
いつまで経っても進展しない
作業に飽きて大人たちは
キューっと一声喚き残して
餌を探しに何処かへ行った
かもめのゆりこ
堤防にひとり
冷たいみぞれも降ってきて
さあ、も一度頑張るぞ
首をすいっと持ち上げた途端
しっかり刺さった平らな魚は
嘴と一緒に持ち上がり
そしてあっという間もなく
冷たい海の中へ落ちてった
かもめのゆりこ
ビーズの瞳で一点を見つめ
猛禽のような鋭さで
ギエーっと三度激しく啼いて
まっしぐら
港の向こうへ消えてった
