オホーツク移住生活
冷蔵庫スパイラル

- ミニマムライフ
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冷蔵庫スパイラル日記 2005年12月14日
我が家には冷蔵庫が無い
無くても困らないからだ
肉や魚は塩して干して保存する
野菜はダンボールに入れて涼しい部屋に置く
もっとも今の季節、外は冷蔵庫と冷凍庫の間を上下する気温なので
食品の保管がそれほど困難というわけでもなく
家中が冷蔵庫になってるだけだというハナシもあるが。
「台所に冷蔵庫はなくてはならん」という常識を
自分で脱却したのが鼻が高い、という自慢がしたかったのである。
もともと冷蔵庫が好きではない
大きいしウインウインうるさいし
後ろに埃がたまるし
持ち運びできない
自分の力で運べないものは
できれば持ちたくないと思う
札幌のワンルームマンションを引き払うときに
リサイクルショップに冷蔵庫を引き取ってもらい
今後はもうこんなに重い箱は使わないことにしようと決めた
私は自転車旅行者なので
あまり重たい荷物は恥なのだ
この国で冷蔵庫が発売されて約50年だそうで
今では山奥に住んでいても刺身が食べられる
なぜなら日本中に冷蔵庫があり
その冷蔵庫と冷蔵庫の間を冷蔵庫で運搬するからだ
それをするのにどれくらいのエネルギーが必要なのかというと
たぶん人がおちおち日向ぼっこをして遊んでいられないくらいのもので
山奥で刺身を食べるのと
みんなでのんびり日向ぼっこをするのと
どちらが良いかと言われれば
私は専ら日向ぼっこが楽しそうだと思う
ソローという私の好きなナチュラリストが居て
彼は簡素に暮らせばみんな好きなことをしていられる、と言った
私も結構そう思うのだ
毎朝、海で釣ってきて玄関先に干したチカの
目刺しを一尾づつ食べているが
とってもうまいし釣りも楽しい
その、海へ釣りに出かけるときに車を使うあたりに矛盾は無いのかね?
と言われると
まあ困る訳だけど
その辺が曖昧でぐずぐずで中途半端で不徹底で
あんまり悩まずに日向ぼっこしておくあたりがまた私のすごいところなので
ま、その課題は保留だ
遠くに友人がいる
会社勤めをしている
彼女が疲れてしまったらしい
仕事ができて良心的で繊細できちんとしたまじめな人なのだ
しばらく仕事をお休みしたりなどしていたが
でも日増しにますます疲れているのが見ていて分かるわけで
あんまり悩まずに日向ぼっこする習慣がないために
彼女は身動きが取れなくなってしまった
どれほど身をすり減らしても仕事はやめられない
人が一人生きるためには
生活を楽しいと思うことすらできないほどの
つらい労働が必要なんだろうか
そんなにも大地は恵みが少なくて
人は貪欲に色々なものを食い尽くすのだろうか
どうして人がただ生きるのに
それほどまでの代償が必要なのか
私はたった三年会社員をした挙句
「あまり面白くない」という不埒な言葉を残して辞めて
もっと面白い生活を探すべく自転車に一切合財詰め込んで
三ヶ月の旅をして今の家にたどり着いている
色々な幸運が重なって今はたまたま順調に暮らせている
ただ、永遠に続けられるような完全な輪の形にはなっていない
先細りの不完全な形をした、
はじめたばかりの未熟な実験だ。
さて、楽しい楽しいとにこにこしながら
この地球上で生を営んでゆくというのは
本当にできない相談なのか。
この先私が知りたいのはそういうことだ
どうして今日この時
彼女は幸せではないのか、と
私が気になるのはそういうことだ
だから冷蔵庫のハナシは何なのだと言えば
あの食べきれない食料を詰め込んでおく為の
持ちきれないほど重い電気仕掛けの箱に
我々はどうも騙されているような気がする
・・・というハナシだったのサ
