オホーツクの花や風

オホーツク移住生活

年越し

はしぶくろ

  • 北海道はおせち料理を大晦日の夜から食べはじめます。北海道の人はあんまり物に拘らないから作ったらすぐ「食っちゃえ〜」ってなるのかな、と思っていたのですが、案外歴史は古いようです
  • 現在使われている太陽暦では一日は午前0時から始まりますが、日本でこの太陽暦が使われ始めるのは明治五年。それ以前は太陰暦を使用していました。その太陰暦では一日は太陽が沈んだときに始まるんですね。つまり大晦日の夜はお正月の始まりなんです。大晦日の夕食は新しい年を迎えるお祝いの膳ということになります。おそらく北海道の習慣はこれの名残らしいのです。
  • しかし殆どの地域では大晦日の夜にお祝いの膳料理を食べる習慣は江戸の末期にすたれ、おせちは元旦に食べられるようになり、大晦日の夕食は年越し蕎麦に変わったのだそうです。
  • 今年は近所のおばあちゃん達から正月前後に鰊漬けを頂いたのでお正月らしくなりました。これは身欠き鰊と白菜などを大樽で長期間漬ける漬け物です。北海道のお正月はこの鰊漬けと鮭のお漬け物の飯寿司(いずし)をよく食べます。あんまりしょっぱくなくて、乳酸発酵のほのかな酸味が美味しいのです。
  • 画像はお祝いのお膳のために作った箸袋です。
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    → 年越し日記 2006年01月03日



    年の瀬の最後に支度したのがごろんと大きな百合根の調理で
    花びらのように蒸したり煮たりマッシュしたり何種類かに料理して
    それでお正月の準備は全部終わりだった

    大晦日の短い昼はとっくに終わっていて
    まだ時間は早いのに外は静かに夜だった
    新年のために真新しく作った箸袋を食器のそばに二つ並べておいて
    同居人と連れ立って
    紅白歌合戦を見るためにお風呂屋さんへ出かけた
    冷たいブーツに足を突っ込みながら
    からからと扉を開けると
    ちょうど目の高さで何かが顔に当たる
    見上げるといつの間にかしめ縄が下がっていた
    裏のじいちゃんが作ってくれたんだねえ
    昆布と半紙の飾りが編みこんである
    ちょっと振り向いて肩で会釈をするように外へ出る
    どの家も明かりはついているのに
    しんしんと静かだ

    さらさらと湯を浴びて
    テレビを見ながら
    やれ司会がうるさいの
    やれこの人は毎年衣装だけ見せて帰れば別に歌わなくってもよいのではないかだの
    この分だときっと日本の未来はオウオウオウオウだのと
    ひとしきりの下馬評をやる
    なんにせよ晴れやかであることは
    やっぱりちょっとは心に嬉しいのだ
    蛍の光を聞いてお風呂屋さんを出る

    家で甘酒などを飲んで温まってから
    除夜の鐘の鳴り始めた真夜中の空を横切って
    初詣に出かける
    いつも人のいない駐車場に煌々と火がたかれており
    駐在さんなんかが立っている
    あっちこっちから人が集まってきて
    参拝の長い階段を上がる
    昨日まで腰までの雪に埋まっていた階段は
    きちんと人の手でわざわざきれいに掘り出してあるのだ
    境内ではおそらくは大学生くらいと思われる若者が
    久しぶりの挨拶を交わしてにぎやかだ

    お参りのために静々と進むと
    中で突然なにやら派手な色彩がちらつき
    オレンジ色めいた金ぴかりんの神主さんが突如出現し
    無言でばさっばさっとお祓いをしてくれた
    とっさに体を折って礼をし顔を上げたら
    また誰もいなくなり
    ご神前に沢山の酒が奉納されてただずらずらと並んでいた
    ちょっと驚いた

    いつも会いにいく神社のひしゃげた白犬は
    今日もひしゃげた顔をしており
    こんな夜中におちおちと眠っていられないことを
    ちょっと不服に思っている様子ではあるが
    おとなしく雪の上に丸まっていた

    かわいらしい巫女さんからお神酒を頂き
    昔可愛かったのかもしれないおばさんから暖かい甘酒を頂いた

    お祭りのように
    色とりどりの裸電球がずらっと並ぶ坂を下りて帰る
    神社の丘の上から見る町は小さな明かりがぱらぱらとあるだけで
    冗談のように小さくって静かだった
    結局は良い年だったよねえと
    なんだか本当にシミジミと思わせるくらいの夜の明かりで
    しみじみしみじみ坂を下りて帰る

    あの巫女さんふたりは12時を半時間ほども回ってから
    「良いお年を」なんて言っていたけども
    あれは良いのかねえ
    うーん、可愛かったし、いいんじゃないのぉ。なんて言う
    その言葉は我々の後ろで次々白い煙になって消えてゆき
    それはまるで昔絵本で見かけた絵のような
    なかなか美しい景色だったのだ

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