オホーツク移住生活
年越し

- 年越し
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年越し日記 2006年01月03日
年の瀬の最後に支度したのがごろんと大きな百合根の調理で
花びらのように蒸したり煮たりマッシュしたり何種類かに料理して
それでお正月の準備は全部終わりだった
大晦日の短い昼はとっくに終わっていて
まだ時間は早いのに外は静かに夜だった
新年のために真新しく作った箸袋を食器のそばに二つ並べておいて
同居人と連れ立って
紅白歌合戦を見るためにお風呂屋さんへ出かけた
冷たいブーツに足を突っ込みながら
からからと扉を開けると
ちょうど目の高さで何かが顔に当たる
見上げるといつの間にかしめ縄が下がっていた
裏のじいちゃんが作ってくれたんだねえ
昆布と半紙の飾りが編みこんである
ちょっと振り向いて肩で会釈をするように外へ出る
どの家も明かりはついているのに
しんしんと静かだ
さらさらと湯を浴びて
テレビを見ながら
やれ司会がうるさいの
やれこの人は毎年衣装だけ見せて帰れば別に歌わなくってもよいのではないかだの
この分だときっと日本の未来はオウオウオウオウだのと
ひとしきりの下馬評をやる
なんにせよ晴れやかであることは
やっぱりちょっとは心に嬉しいのだ
蛍の光を聞いてお風呂屋さんを出る
家で甘酒などを飲んで温まってから
除夜の鐘の鳴り始めた真夜中の空を横切って
初詣に出かける
いつも人のいない駐車場に煌々と火がたかれており
駐在さんなんかが立っている
あっちこっちから人が集まってきて
参拝の長い階段を上がる
昨日まで腰までの雪に埋まっていた階段は
きちんと人の手でわざわざきれいに掘り出してあるのだ
境内ではおそらくは大学生くらいと思われる若者が
久しぶりの挨拶を交わしてにぎやかだ
お参りのために静々と進むと
中で突然なにやら派手な色彩がちらつき
オレンジ色めいた金ぴかりんの神主さんが突如出現し
無言でばさっばさっとお祓いをしてくれた
とっさに体を折って礼をし顔を上げたら
また誰もいなくなり
ご神前に沢山の酒が奉納されてただずらずらと並んでいた
ちょっと驚いた
いつも会いにいく神社のひしゃげた白犬は
今日もひしゃげた顔をしており
こんな夜中におちおちと眠っていられないことを
ちょっと不服に思っている様子ではあるが
おとなしく雪の上に丸まっていた
かわいらしい巫女さんからお神酒を頂き
昔可愛かったのかもしれないおばさんから暖かい甘酒を頂いた
お祭りのように
色とりどりの裸電球がずらっと並ぶ坂を下りて帰る
神社の丘の上から見る町は小さな明かりがぱらぱらとあるだけで
冗談のように小さくって静かだった
結局は良い年だったよねえと
なんだか本当にシミジミと思わせるくらいの夜の明かりで
しみじみしみじみ坂を下りて帰る
あの巫女さんふたりは12時を半時間ほども回ってから
「良いお年を」なんて言っていたけども
あれは良いのかねえ
うーん、可愛かったし、いいんじゃないのぉ。なんて言う
その言葉は我々の後ろで次々白い煙になって消えてゆき
それはまるで昔絵本で見かけた絵のような
なかなか美しい景色だったのだ
