オホーツクの花や風

オホーツクの草花

舞鶴草

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  • ユリ科マイヅルソウ属
  • 葉の様子を鶴が翼を広げた形に見立てたことから舞鶴草の名がついた
  • 花期:5〜7月
  • 草丈:10〜25センチ
  • 生育適地:山林の中、原野の木陰
  • 赤い実がつく
  • 花言葉:清純な少女の面影
  • 観察場所:滝上町錦仙峡遊歩道
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    → 舞鶴草日記 2006年06月13日



    折角の六月に悶々鬱々とパソコンに向かってカキモノばかりするうちに
    ニリンソウとエンレイソウでいっぱいだった散歩道はあっという間に奔放に草丈が伸びて
    いつのまにか私の背の方が縮んだかのようなアリス的転換がおこっていた
    ウサギの通い道みたいに見える草の中は
    紫やらピンクやらやたらにポップに光るルピナスがもう咲き始めて、
    若いトウモロコシのような先端の方だけがまだ未熟な色の煮え切らない顔つきだ。
    ぼうっとしているといつも通りすぎてしまうスズランの小さな群生は
    それでもかすかな風が吹いてくると強く甘い香りを漂わせるので
    ぼんやりしててもはっと気付いて足をとめて
    俯いた白い花をそっと指で持ち上げて挨拶をする
    また今日も会えたね、と。
    私が好きなマイヅルソウというとても小さくて目立たない花
    消えかける線香花火の地味なチラチラに似て、
    日陰に残る雪のように一面無口に咲いている。
    葉っぱも可愛いスペードの形。
    オレンジにすっと高く背筋を伸ばして咲いているユリはエゾキスゲ。
    ユリの中ではおとなしい、可憐な感じでぽっと咲く。
    クラシックなタイルのようなデザインの、花のように輪生した草のてっぺんに
    もっと可愛らしい細かい白い花をつけるのはヤグルマソウ。
    黄色く目立って咲いているのはクサノオウ。

    二週間ほど前に岩の上に四羽
    ぱよぱよと猫のようなやわらかい毛をして
    白と茶のぶち模様でうずくまっていたカモの赤ちゃんが
    どのくらい大きくなったのか気になるのだけど
    あれ以来探しても探しても見つからない
    あの羽ではまだ飛べないのだろうに、どこへ行ったのか。
    キツネやら、カラスやら、そんなものからちゃんと逃げおおせているのだろうか

    家から四十キロ離れたぜんぜんコンビニエンスでないコンビニで
    たまたま見かけたきらきら光るピンクのマニュキュア。
    不思議なことにいつも全身洗いっぱなしほとんど着たきりでどこでもかまわず歩き回る私が、
    それでも間違いなく素っ頓狂なお姫様趣味も昔から確かにあって
    ピンクの小さくってすっと背の高い、なかなか美しいかたちの小瓶を見ていたら
    ああこれ欲しい欲しい、爪にお絵描きしたいのだ、と思って
    600円握り締めて思い切って無駄遣い
    どこに出しても恥ずかしくないほど立派な不器用に生まれついた私が
    一人夏の夜畳の上に正座して
    月明かりに向かって爪を桃色に染めていく
    ちょっとムラができるとそれを隠すためにもっともっと塗り重ねていくわけで
    家一軒ペンキ塗りするほどの時間をかけて最後には動物ヨーチみたいな面白い爪ができる
    しかも左手だけ
    こってり光る爪を夜空にかざしながら
    自分の人生ってのはいつもこんな感じで
    お姫様趣味で不器用で出来上がりは必ずずっこけているんだよな、と思う
    世間を生きる女性ってのは本当にまあなんと器用なんだろう
    せっかくだから足の爪もジムがけビスケットみたいな色にしてたら
    なんだか急にすごくたくさんの時間がたった気がした
    あのカモたちは結局はきっと元気で今では飛ぶ練習までしていて
    あの夏別の町で見た花も、もう当たり前に咲き初めていて
    私は左手だけにしたはみ出しだらけのマニュキュアを、かわいいわねと笑ってもらえる年は過ぎていて
    あの頃を一緒に過ごしたあいつとはもう共有するものは何もない

    たくさんいろんなことが起こったんだなあ、と思いながら
    15個の爪をピンクに染めた
    月の高い夏の夜

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