北海道カヤック旅
チミケップ湖
- チミケップ湖
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チミケップ湖日記 2006年06月28日
チミケップという
なんとなく色々なものから隔絶された雰囲気の湖がある
山の中を走る長い砂利道をごとごとと行くと
突然にぽっと固まりかけのゆるい寒天に似た水たまりに出る
朝夕に雲の形をはっきりと湖面に映しながらくすんだ鏡のようになる
なにかの魔法がかかってるようなねっとりと静かな湖だ
なんだかこの湖が好きで
時々本を一冊持って一週間くらい湖畔で暮らしに行きたい、と思う
ファルトボートという折り畳みカヤックを持って
四日間ほどチミケップに遊びに行っていた
なめらかに揺れる音のしない水の面に
そっとオールを入れては引き上げ、入れては引き上げ
そこここでじっと立つアオサギを眺めて、おしどりを眺めて、
シカが水を飲むのに遭遇し、遠くキツツキのドラミングを聞いて
誰もいない水の上でお昼寝をした
持参した本はソローの「ウォールデン」で
いつも大して読む訳ではなく
手に持ってぼんやり水を眺めている
空も水も空気も、ここは全部緑に見えるのだ
時折り無口な釣り人が来る
たいていは誰にも声をかけないまま帰る
わざわざこんなにも不便なところまで
本当にわざわざ釣りをしに来たのだろうか
釣り糸を垂れて湖の下の緑の世界と
きっとなにか秘密の交信をしてるに違いない
そして私も読まない本をなにかのサインのように小脇に抱えたまま
それで満足して帰っていくのだ
チミケップはいつもそういう湖
