北海道カヤック旅
屈斜路湖中島
- 屈斜路湖
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屈斜路湖中島日記 2006年08月30日
屈斜路湖の真ん中に浮かぶ中島を間近に見てみたくて
フネを持って弟子屈町に向かう
途中の美幌峠の展望台から見下ろすとその閉ざされた島は
むっつり黙り込んだような無言の湖の中に予想以上に大きく沢山の重そうな木を抱いている
湖に浮かぶ島としては日本最大、周囲12キロのちょっとした小山である
いざ、ゆかん、あの島へ
国道から屈斜路湖畔林道へ入り四キロほど進んだところで
湖に近寄れそうなスポットを見つけ出廷する
このあたりは中島までもっとも距離の近いあたりだ
温んでる浅い水に足首まで浸かってそっとフネを出し
見渡す限りのコバルトブルーの中にパドルを差し込んだ
どこまでいっても底が見える透明度だ
遠く下の方に倒れた古木が藻に包まれて廃墟の様に横たわっている
ぞっとするほどの透明
ただ沈黙して、捨てられた水中王宮のよう厳粛さだけが続いている
陽気な命の歌を歌う、生き物の雰囲気はあまりない
屈斜路湖は火山によってできた盆地に水が溜まってできたカルデラ湖と呼ばれる種類の湖で
そのカルデラ湖の中では日本最大のものだ
すぐ近くに硫黄山と呼ばれる活火山がいまもガスを吐きブツブツと何事が言い続けながら
周囲の土壌を酸性に染めている
湖の中にもPH2という強酸性の源泉が流れこんでいて湖を酸性湖にしているため生き物の住みにくい湖なのだそうだ
川湯という近郊の温泉で掛け流しの湯に入ってみるとよくわかる
目に染みてぴりぴりと痛く、石鹸がまるで泡が立たないし
乾いたタオルがうっすら赤みを帯びて強い金属臭が残る
かつてはもっと酸性が強く魚が全滅していたこともあり「死の湖」と呼ばれていた。
現在は放流などで少しずつ魚がもどってきているとのことだが
死の湖の厳かさは最大水深100メートルを超える深い湖の底に未だ息を潜めているように見える
肌にはそよとの微風も感じない天気なのに
湖面の中心部は波がたって漕ぎにくい
ゆっくりと横切って一時間ほどで中島の岸辺に寄せる
岸の側は浅く風のない穏やかな湖水が続く
シャツを脱いで水に浸かりフネに捕まって泳いだりしながら遊んだ
透明な水の中に小さな小さなイトヨが泳ぐのが見える
透んだ深い水ばかり見ていると目の中に深い井戸ができるようだ
何を見ても澄んでで深く青々として穏やかであるような気がしてくる
さらさらと肌を撫でる湖とひとしきり遊ぶ
中島を半周ほどするとそれ以上は風がまともにあたり波が立ちすぎるため
カヤックを進めることは断念して引き返した
帰路は行きよりも一層波立ち、ところによっては波頭さえたっているような水の中を
ぐっと持ち上げられたり、すっと落とされたりしながら漕いで帰った
深い深い湖の底に呼ばれているようで
これほど綺麗な湖であれば転覆しても悔しくもないな、と思いながら
それでも無事で帰りついた
青い水を滴らせながらフネを引き上げる
明日はこの湖を源に流れ出る釧路川源流の旅だ
湖に突き出している和琴半島にキャンプを張り
豊かに湧き出ている無料の温泉で体を温めた
目の中に残る静謐な青と硫黄のつんとする匂いに包まれて
まるで異世界にいるような心持ちで眠る

