オホーツクの花や風

北海道の遊歩道

大雪山赤岳登山 前編

ホシガラス

  • 銀泉台から赤岳山頂を目指す往復五時間程度のコース
  • 国道273号から急坂ダート15キロで登山口となる銀泉台へ。秋の紅葉シーズンはマイカー規制あり。
  • かつてヒュッテとして営業していた建物の端のところが森林パトロール事務所として今も使われており、ここで入山、下山の届けをします。トイレと水場が使えます。
  • 実はこの銀泉台ヒュッテの跡の建物、シマリスがいっぱいいついているらしいですよ。静かにしていると見られるかも
  • 最後にきつい勾配の滑りやすいガレ場があるので、できるだけきちんとした靴を履いていくことをお薦めします。
  • 展望のよい、非常に気持ちよい山でした。ややきつめですが登る甲斐あります
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    → 大雪山赤岳登山 前編日記 2006年09月13日



    目覚めた時に息をぐっと吸い込むと冷たい空気で肺がつんと冷える気がする
    盆が過ぎると北海道は砂が零れる勢いで猛烈に秋がやってくる
    ああ、寒い寒いと言いながら靴下をはいてディパックを肩に引っかけて
    物好きにも日本一早い紅葉を見に行った
    もちろんここいらでも、待つまでもなく半月もせぬうちにどこも色づいた葉でいっぱいになるし、
    我が家のすぐ裏は紅葉の名所として有名な場所ではあるのだけれども
    それはそれ

    大雪山赤岳2078m
    大雪山系は北海道で一番標高の高いところで、当然紅葉も日本で一番早く始まる
    山の麓から見ても高いところが赤く染まっているのが分かる
    登山口の事務所で入山手続きをし、
    湧き水で手と顔を清めて山へ入る
    山の空気は湧き水と同じに、ちょっと首をすくめるほど冷たくて
    「そりゃあまあこれなら紅葉も始まるわな」という冷えた味がする

    ちょっと体調が思わしくなかったのか
    最初の15分がなんだか不自然なほどきつかった
    あっという間に息が上がってなんだか胸が苦しいし
    困ったなあ、行けるところまで行って、休憩して、戻ってくるとするか
    などと考えながら足下の石を踏んで登る

    身体がきついところを無理に動いている時、人間って結構面白いことを考える、と思うのだが
    私は前にテレビで見た知床岬探検のドキュメントを思い出していた。
    どういう番組だったかと言えば
    道も無くって断崖絶壁原野荒海がそのまま残っている(らしい)秘境、知床岬に
    小学生のグループが入って行って歩いて岬の突端を目指す、というものだ
    大人のサポートはつくけど、安全の確認をするだけで力は貸して貰えない
    自分の荷物は自分で担ぎ、さあ歩け歩け、という面白い冒険のお話だった。
    何が面白かったのかと言えば
    歩いてる途中で疲れ過ぎて子供が泣くのだな
    疲れたよー、とか怖いよー、とか言ってオンオン泣き叫びながら
    15キロの荷物背負って命綱つけて崖登ったりしてる。
    カメラの中で派手に泣いた子は、ちょっと肥って甘ったれでお調子者、みたいな雰囲気の子だったのだけど
    その子が周囲に遠慮会釈なく泣いていたので
    どういう訳だかその遠慮のなさが見ていた私の胸にひしひし迫ったわけだ

    世界を見ると、例えば一人で北極縦断をしてしまった植村直己さんとか
    いわゆる冒険家って言われる人には、「おおっ」と思ってしまうようなことをした凄そうな人が沢山いるのだけど
    私が思うに世界に名だたる屈強な冒険家もその最も誇らしい業績の中で、
    絶対この子みたいに僻地で一人で泣きわめいたんだよな、と確信する
    私も自転車で長い旅をよくするけども
    疲れて、寒くて、お腹が空いて、一人で、挙げ句雨なんか降ってきたら、もう間違いなく泣くね
    誰に遠慮もいらないからオンオン泣きながら、
    でもとりあえず雨露しのげる所までは辿り着かないとどうしようもないから
    実は冷静に周りの状況見ながらペダルこぎ続けて
    そして淡々とテントを立てて、濡れたものを乾かして、着替えもして
    空きっ腹抱えて寝袋に潜り込んで改めて泣きながらぐっすり寝入ったりするわけで
    別に泣いたからどうというのは全然無くって、ちゃんと次の日の朝は普通の一日の始まりだ
    だから何なのかというと、
    要するに、大切なのは「泣かない」ってことではのだ、というのを
    件の小学生の大泣きを見て思い出したって話

    ちょっと朦朧としながら
    泣き虫小学生を思い出しつつ赤岳を登りながら
    だから私が考えたのは
    要するに私は凄い怠けものだし
    楽しいことばかりしていたいし
    自由で気楽で無責任でいたいのだけど
    でもだからと言って
    泣きたく無いわけじゃないし
    しんどいことをしたくない訳じゃないし
    不安から逃げたい訳でもないし
    暑い寒い痛い痒いを嫌がってる訳でもない
    本当に肝心なことは
    それらの先にあることなのだよ、と
    山道を歩きながら考えた
    そういうことだ

    そうして、そうやって登っていたら
    いつの間にか体調が良くなってきてしまって
    そういうことも、これまた結構よく有ることだ

    後半へ続く

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