北海道の遊歩道
阿寒富士登山

- 阿寒富士
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阿寒富士登山日記 2006年09月25日
雌阿寒岳は活火山である
活火山ということはまさに今このとき狂喜乱舞してぼこぼこと沸き立っている訳で
そういう山にどうやって登るのだろうなあ、と不思議だったが
とにかく登れるというので行ってみた
雌阿寒岳と、隣の阿寒富士をセットで登ることにする
野営場の駐車場が登山口の入り口になっている
活火山であるので異常を感じたらすぐに下山するように、と注意書きがあるなかを入山していく
肌にひんやり冷たい、深く薄暗い森
見上げれば木の葉の間からちらちらと揺らぎながら小さく切り取られた日の光が差し込んでくる
誰がデザインしたのか、まったくユニークな色形をした可愛らしいきのこを見ながら
ただ黙々と登る
麓の方が勾配がきつく肩で息をしている
身体の芯がぽっぽと暑く、表面はしんとして冷えてくる
着ると暑く、脱ぐと寒い、北海道の秋
ところどころに山にはあるまじきものが色々と建っている
電線やら、アンテナやら、色々な形をしたボックスやら。
これらは全部火山活動を観察し、危険を早急に知らせる為の装置なのだ
半年前、今年の三月にも噴火している山、こんなにも警戒されている山なのだけど
麓の森は随分と豊かなものだ
平和そうにしっとりと苔に覆われていて、とても慈悲深く見える
それが活火山だなんてことはすっかり忘れて原生林の中をはい上がっていく
五合目あたりから森が切れて視界がよくなってくる
周りが見えるようになるとこれが楽しいのだ
どこまで見ても山ばっかり
間近に迫る山肌、遠くに見える木々のシルエット
目指す雌阿寒岳からはもうもうと煙があがり、雲にとけ込んでいる
8合目で分岐
阿寒富士へ登る道と雌阿寒岳を登る道
モンローの上唇のような形に隣り合った二つの山頂なのだ
まずは阿寒富士に登ってみよう、と目指すが
一瞬どこを登ったらいいのかと思うくらい、単なる石の山
石の中をよくみるとジグザグに人の通った跡がついているという代物だ
こういう滑るトコロが一番苦手なのよね、とぶつぶつ言いながら
相変わらずずりずりざりざりと滑りながら登る
休むついでにあたりを見回すと見晴らしの良い景色の中、隣の雌阿寒岳の山頂から
なんだか10人くらいの大きな団体が降りてくるのがはっきり見える
あれ、こっち来るんじゃないか
早く登らないとこんな滑る道で追いつかれるなあ
と思ってよちよち登り出す間にホントに迫って来るのだな
えらく若い団体だが使い込まれたきちんとした登山靴と脚絆をつけている
それがぜえぜえ言ってるこちらの脇を殆ど駆け上がる勢いで過ぎ去っていく
こんにちわあ、と声を掛けてくる響きも爽やかな、なかなか美青年であったりもする
大学の山岳部か、なにかの運動部だな
いや駄目だ、私はもう駄目だ無理だ
本当は雌阿寒岳の山頂までとっておくつもりだったのだけど
もう、阿寒富士のてっぺんについたらパックンチョ食べていいですか
もう我慢できません
若者達に爽やかに追い抜かされた今とあってはあとはパックンチョだけを励みに登った
阿寒富士山頂
好青年が岩の上に座って白い歯を光らせてほほえみかけてくれた
四方八方展望が開けるが、全部風景が違う
右手に見えるのは信じがたいブルーを抱いた神秘の湖オンネトー
奥には緑なす山々の連なり
振り向けば煙を吐き続ける雌阿寒岳
山々の合間には昨日カヤックで遊んだ阿寒湖が潜む
そして足下の岩の隙間には薄青い色のコップを伏せたようなイワギキョウの姿
もう噴火はしないだろうと言うことで死火山とも呼ばれるこの山で
死んだ火の山にすがりつくように張り付いている丈の低い草と花は
まったくどうしてこんなところに生きているのか
とりあえずごつごつした岩の上に座って
ポットから珈琲を注ぎ、甘いお菓子を取り出して食べる
奥歯噛みしめてクッーと変な声出してしまいそうな程うまい
山で食べるものほど旨い食べ物というのはなかなかあるもんじゃない
これほどの楽しみのためなら山ひとつくらい、ついつい登ってしまうというものだ
さんざん食べて落ち着いてから
改めて次なる目指す頂、雌阿寒岳山頂を眺めてみる
いくら眺めてもどこが山頂だかわからない、なし崩し的形状をしている
どうやらそれはもと山頂だったところが噴火で吹き飛んで穴になってしまったところと思われる
もうもうと煙をはく大きな穴の周りがぐるっと高くなっている様子だが
とにかく何処まで行けるものやらさっぱり分からない
まあとりあえず行ってみようと
また大切なホットコーヒーをリュックに詰めて石の道を滑りながら
8合目の雌阿寒との分岐点まで降りる
疾風のように登り、疾風のように下り、疾風のように何処かへ行ったかの若者達はもう陰も形も無い
