オホーツクの花や風

北海道の遊歩道

雌阿寒岳登山

  • 標高1499メートル。阿寒湖の南西に位置する。約二万年前に火山活動を開始し、噴火を繰り返して複雑な山体を作り出してきた。主峰ポンマチネシリは一万五千年前に誕生。五合目付近からハイマツ帯、1100メートル以上では岩石と砂礫帯
  • 深田久弥の日本百名山で阿寒岳と呼ばれて有名なのはこの山
  • 温泉:雌阿寒温泉登山口から200メートルのところにあるオンネトー温泉景福 あまり人には教えたくないと思ってしまう程のお薦めです。お湯の流れてくる口がないなあ、と思ってたのですが、やっぱり、湯船の底から自然湧出してるお風呂でした。余計な物の何もない、じっくり温泉。大人三百円
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    → 雌阿寒岳登山日記 2006年09月25日



    アイヌの人たちは阿寒湖を間にしてたつ大きな山の
    一つをピンネシリ男の山、もうひとつをマチネシリ女の山と呼んだのだと言う
    阿寒湖の上からカヤックに乗って眺めると
    すぐに目に入るすっきりとした形の美しい山が男の山なる雄阿寒岳
    遠くにはっきりしないいびつな形の山頂を覗かせているのが女の山なる雌阿寒岳だ
    遠くから見てきれいなのは男山の方だけど
    日本百名山に数えられているとかで、登るに有名なのは女山のほうだ
    ちなみに女の方が背が高い


    煙吐く雌阿寒岳に上る
    山頂に近づけば近づくほど山の息遣いがはっきりと分かる
    白い煙、ガスの匂い
    噴煙立つゴーっという音は飛行場を包む音のように、遠くても確かに響く
    八合目過ぎたあたりから時々ぴりっと目にしみるほどに強くなる
    ネイチャーセンターでもらったパンフレットによると
    「煙をなるべく吸わないように足早に通過」すべきスポットだ
    足早も何も、こちらは山を登っているので、ちょっと勘弁してください
    と思いつつ思い切りガスを吸い込んですすむ

    足元の岩はさまざまな色をしている
    青い石、赤い石、薄くはがれてきらきら光る石、黒の石
    山のてっぺんであるはずの場所は見事に丸くえぐれていて
    いつか何かの写真で見たクレーターの姿によく似ている
    火口の右側をぐるっとめぐるように上る
    音、煙、良く分からない不思議な色をした水溜り
    うわーっとはるか向こうの方まで山ってものがえぐれている
    ふつふつふつふつと今歩いている足の下でエネルギーが溜まっていて
    それが沸いて動いて活動してる
    全体がものすごく大きな生き物なのだ
    迫力ありすぎて嘘っぽいっーと思わずつぶやいてしまう、初めて見る風景
    眼下に真っ赤な水溜り
    光るように赤くてそれが風に煽られ表面にちらちらと無数の波紋を広げている
    銀の鱗の生えた血溜まりみたいだ
    赤は鉄の溶けた色だろうか
    周辺にも赤い石が多く落ちている
    もうひとつぐずぐずとした色の池があるのは、青池と呼ばれているらしい
    緑と言うのか、青と言うのか、黄色と言うのか、こちらはなんとなく温泉を思わせる色をして
    あんまり危機感はない

    くるりと振り返ると白煙噴く低い山の向こうに阿寒湖
    それからついさっき上ってきた沈黙の山、阿寒富士
    なんといろいろなものがいっぺんに見えることだと感心しながら
    噴煙を背中に背負っておにぎりほおばってお昼とした
    しゃがみこんだ地べたを触れてみてもひんやり冷たくて
    ああも沸き立つ火口からそれほど離れてもいないのに
    いったい何に隔てられてこんなにも冷えているのだろうと思えば
    そういえばこれこそがマチネシリ女の山なのだと考え込んだりもすることだ

    頂上付近は火山活動の緊急を知らせるサイレンが聞こえない範囲とかで
    あまり立ち止まらずに速やかに通過するように、との看板があちこちに立ててある
    ご飯を食べ終わると、この別れがたいほどの情熱的な光景を後にして
    山を下ることにした
    来た道をゆっくりと降りてみれば
    また何事もなかったかのように生き物をすっぽりと包み込む緑もまぶしい原生林
    さっと一瞬の霧雨に降られながらゆるゆると降りてきた
    情熱の山、マチネシリ女の山


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