オホーツクグルメ
ちんすこう

- ちんすこう
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ちんすこう日記 2006年09月30日
実は沖縄に住んでいたことがある
北海道で生まれて育った私には数多珍しいことがあり
ぱしゃぱしゃと足首まで海に入ってみれば
青い金魚が泳いでて、もずくがゆらゆら浮いているとか
椰子の実にストローさして売っているとか
台風の翌朝は窓ガラスに”ふえるわかめちゃん”みたいな海草がびっしりついてるとか
若者が冬のファッションに憧れて必要もないのに皮ジャン着てるとか
その隣を歩く人はビーチサンダル履いているとか
海岸歩いてさんごを拾うとか
色々なかなか面白かった
沖縄離れて六年も経った今でも時々思い出すのが
「ちんすこうは美味しかったよなあ」ということで
ちんすこうというのはビスケットとクッキーの間、みたいな
さくっとした歯触りのお菓子で
沖縄では凄くたくさん売っていた
みやげものやはたいてい色々なフレーバーのちんすこうでいっぱいだったのだけど
私が好きだったのはたしか、新垣という、わりと地味なパッケージのもので
沖縄の生活は結構色々寂しいことが多かったのだけど
時々自分で買ってうまいうまいと食べながら
青い海を眺めて暮らしたりなんかしたわけ
あれから三千キロ北上して今はオホーツク眺めながら紅葉の中なぞ散歩して
「ちんすこう食べたいな」とおもうのだけど
調べてみると実は非常に単純なお菓子で
材料がラードと赤砂糖と小麦粉なのだ
それが全部同量ずつ入ってる(どうだ、こわいだろう)
うまくしたことで我が家には
アウトドアで使う使うためにラードの常備がある
(液体油のように漏れる心配しなくていいのでキャンプの季節には持っていると便利だよ)
それから普段使う砂糖は全て三温糖で
これをとかくわざわざ赤砂糖と呼びたがるのは完全に私の趣味だが
とにかく大抵常備してあるし
生うどんを打って食べるのが好きなので小麦粉も一定量確保してある
そんなわけでシンプルかつ明白に原料は全て揃っていた訳だ
強いて言えばオーブンがないが
ガスが使えてフライパンがあるのだから文句言うにもあたるめえ
ボールの中にラードを入れて赤砂糖を入れて小麦粉を入れる
取り立ててダイエットの趣味はないものの
ただでさえ栄養過多になりがちな現代人の潜在意識という物か
知らず知らず小麦粉の量が増える
後はねちゃねちゃと手でこねてたくわん型に伸ばして切る
フライパンに並べてふたしてじっくり
ちょっと溶けて広がる感じになるのであんまりくっつけて並べない方がいい
砂糖の量が多い為もの凄く熱くなるのでうっかりつまみ食いとかしない方がいい
柔らかくなるのでフライパンで焼くときはしっかり焼き色ついてからひっくり返したほうがいい
これは焼きたてはしっとりした歯触りなのだけど
冷めてくるとさくさくというかバリバリというか
油が多いのでかなり固くなる
冷めてから食べるものです
そんな訳で
夢と名付けるには漠然としすぎるものだけ空の手の中に持っていて
その分傷つきやすく挫折もしやすく
自分でもなにに傷ついているのかよくわからないままにぐったりと疲れ果て
真っ青な南国の海辺に暮らしていたかつてあのころのあの青二才は
相変わらずなんだかよくわからない妄想だけを熱く冷たく胸に抱き
それでもさすがに最近は傷つくことにあまり深く溺れないという
年相応の技術の多少も身につけつつ
今度は極北のオホーツクブルーの寂寞をを眺め眺め
またも思い出のちんすこうを一人噛みしめることになる
なんというかやっぱり
金があるならラードより製菓用バターとか使った方が獣臭くなくて美味しい
なんというかやっぱり
前の日に鱒のフライを作ったフライパンでお菓子作るってのは多少無理がある
なんというのかやっぱり
獣と魚と砂糖の味がするお菓子ってのは、別に嫌いじゃないけどそこそこ胸焼けがする
北海道でちんすこうを買うとすごく高いのだよ
というはなし。
