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昭和のケーキ

ケーキ

  • 連続ものになってしまったので目次です
  • 昭和のケーキ1
  • 昭和のケーキ2 *膨らむ憧れ編*
  • 昭和のケーキ3 *メレンゲと苺の謎*
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    → 昭和のケーキ日記 2006年11月25日

    実は同居人が2日後に誕生日で
    お祝いするような間柄でもないので特別なにもないのだけど
    完全下戸超甘党同居人、ケーキが食べたいというので
    よしよしケーキだけは作ってあげようと
    多少偉そうに言ってみた、えへん

    ケーキと言っても我が家で焼くとすれば
    フライパンで焼くか
    魚焼きグリルで焼くか
    薪ストーブで焼くか
    くらいの選択肢しかなく
    どっちみち高温遠火みたいな繊細な真似は難しいので
    割と火の通りやすいチョコレートケーキを薄めに焼いて
    一口サイズに丸く型抜きして
    上から真っ白な砂糖をぱらぱら振るくらいして
    ちょっとオトナっぽい感じでどうだ四十路、と胸算用し
    しばらく前からチョコレートケーキレシピを完成させるべく
    時々予行練習で焼いていた
    フライパンと魚焼きグリルのあわせ技で
    結構ずっしり濃厚なのができる
    見た目は良くないけど、味は悪くない
    まあ、こんなもんだろ、と思っていた

    過疎田舎町から隣の市へXデー前最後の買い出し中
    意外にも粉砂糖が置いてなくてちょっと困っていた
    で、念のためちょっと聞いてみる。
    「ケーキってさ、どんなのたべたいの」
    「丸くて生クリームで果物が載っていてナイフ入刀するやつ」
    即答。
    「・・・じゃあロウソクくらい買えばよかったね?」
    「おお、それ結構ツボだね。でもいいよ、いいよ。楽しみだなあ。」
    ってニコニコしてるよ。
    ロウソクってカマかけただけなのに乗ってきちゃったし。
    まさか四十路男がケーキの上のロウソクを夢見ているとは、
    気づかなかったんだな、私。
    ポイントが分かってなかった。

    「昭和のクリスマスケーキみたいのが食べたいんでしょ」
    「おー、そうそう」
    「あのゴテゴテぴかぴかして大きくて甘いのに憧れた世代だ?」
    「うん、全盛期。庶民がケーキ買えるようになってきた時代」
    私があの装飾過剰で安価な統一規格のケーキに持ってるイメージって
    むしろ「粗悪品」ってものなのだ。
    私は手の込んだすっきりした味のシンプルで小さなケーキを
    ちょこっと食べることの方が贅沢だと思っていて
    だからできる範囲で美味しいケーキを焼いて小さくデコレーションしようと思ったんだ。
    私は小学校の冬休みに小遣いで買ったばかりのミニラジオから
    昭和天皇崩御のニュースが流れてきたのをはっきり覚えてる半分平成育ちの子で
    一回り前の時代に少年期を送った同居人とは根本的に憧れてるものが違ったってわけだ

    「あんまり膨らまないチョコレートケーキの研究しちゃった」
    「いいよ、生クリーム載せてくれれば」
    「でも間になんか挟んでるやつ食べたいでしょ」
    「生クリームとフルーツはさんでるの、嬉しいね」
    「そういう憧れが一番大事だよ」

    そういう憧れは実際とっても大事だ
    昭和が憧れたお菓子の家のようなぴかぴかきらきらケーキを
    我々はたった一回りで完全に飛び越えてしまったんだな
    でも、昭和が夢見た丸いケーキは間違いなくとっても大事だ

    「明日からふわふわケーキのレシピ研究する」
    同居人がにやり笑う
    「ろうそくは裏のじいちゃん家の仏壇からもらってくるしかないね」
    「・・・いや、それはいい。」

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